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床に落ちた髪の毛の量で美容師としての腕前が測れるという話があって、スタイリストへ昇格し始めた頃は特にオーナーや先輩のスタイリストから厳しくチェックの入る項目。カウンセリングでの提案力に欠けていないか・髪の集まりやすい箇所への対処は施せたか、など。カット中の様子を見ていなくとも落ちた髪の量からある程度の察しがつく。髪を伸ばす想定でのカットの場合はむやみな量調整は厳禁。それでも、髪のフィッティングが落ちやすい時期にはボリュームコントロールを施し、纏まりのあるスタイルへと仕上げる。このところ一日の仕事が終わる頃には髪の毛で溢れんばかりの毛髪箱。それを見ていると散髪後の毛を再利用出来ないものかとついつい企んでしまう。実際に“髪は油を吸収しやすい”という特性を活かし、石油が海へと流出してしまうタンカー事故の際に大量の髪の毛を詰めたブイを浮かして汚染を防いだり、髪に含まれるメラニンが光エネルギーを電気へ転換し、髪の毛によって生まれる太陽電池の開発に成功した事例があったりもする。いずれは毎晩のように髪の回収業者と顔を合わせる日が来たりするかもしれない。