✂︎ Ep-104

1日の業務が終わり、片付けに入りかけた。すると電話が鳴る。馴染みなれた声。普段とは異なる時間帯でのご予約。都合が付きにくかったことも安易に察しがついた。思いのほか早く到着されたゲストはすらっと伸びる背中が“く”の字になり『待たせましたね』と息が上がっている。「少し休んでからにしましょうか?」の声掛けに『大丈夫。走ってきたことを装っているだけだよ』の振る舞い。すぐに見破ることができたのだけど、せっかくのご厚意にシャンプーを始める。すぐさま『ごめん、やっぱ休憩させて』と。静まりかえるビル内に二人の笑い声が谺した。